広告のための文章を書く人をコピーライターと言います。出版物やWeb記事を書く人はライターと呼ばれます。
広告制作を請け負うデザイン事務所にはデザイナーだけでなく、必ずコピーライターが在籍していました。ポスターやチラシなどの広告だけでなく、パンフレットやメニュー表、カタログなど、印刷物にはちょっとした文章が必要になります。
広告の原稿はコピーライターが書く
新聞の企画広告を提案する制作会社や、量販店のチラシ・販促ツールなどを制作するデザイン事務所に在籍する機会がありました。広告制作にもプロのノウハウがあり、コピーライターは必要な職種でした。
制作の手順としては、まずコピーライターから原稿が手渡され、ここでおおむねのレイアウトは決まっていました。デザイナーは全体のデザインイメージを考えたら、細部を作り込んで全体のバランスを見ながらブラッシュアップする、というような段取りでした。ビジュアルはかっこいいのになんだか「締まりがなくて垢抜けないな」というときは、文章が残念だったり、文言の意味を考えずにただ装飾のように配置されているものが見かけられます。チラシでもポスターでもカタログでも、情報を伝えるためには文章自体の精度と構成が重要なのです。
ライティングはスキル
ライティングもスキルが必要ですが、中小規模の社内制作でインハウスライターを採用している企業を見たことがありません。コピーライター不在で広告物を作ることが必須でした。文章作成に不慣れな発注者から原稿を受け取ることとなり、質的にも時間的にも厳しく、そのままの文章では誌面を組み立てることができない場合もあります。まずは文章の校正と原稿を再構築するところから始めました。
こうしてインハウスの制作現場にコピーライターがいないなら、自分がコピーライターの役目をしようと決めたことでライティングの知識の必要性を感じるようになりました。
ただしコピーライターの仕事を間近で見てきて多少のアドバンテージはあったものの、私は文章を書くプロではありません。文章を書くのが好きだったり得意だったりするわけでもありません。ネット記事の編集の仕事をさせていただいたり、コピーライティングの講習会に参加したり、自分を鍛える努力は必要でした。使う単語はいちいちパソコンで検索して例文を確かめる。文章を書くことをレクチャーする本を読む。など勉強する方法はいくつもあります。
ふつうの文章が大事
プロのコピーライターは正しい文法も基本もきっちり押さえています。真似をしたところで読書量や言葉のセンス、引き出しの数では太刀打ちできません。私もコピーライティング専門のキャリアではないので、かっこいい文章ではなくてもいいのでおかしくない”ふつうの”文章を書くことを心がけています。
『変わった言い回しをするのがコピーライティング』だと勘違いされているような文章をたまに見かけることがあるのですが、文章がおかしいといくらオシャレなビジュアルをカッコ良くレイアウトしても仕上がりは台無しになってしまいます。ブランドイメージを上げるどころか二流やB級のイメージがつきかねません。気の利いた言葉を探すことより「この言葉遣いはちょっとおかしいんじゃないかな?」ということに気づくセンスの方が大事です。
まとめ
通常デザイナーは文章を書きませんが、中には文章が書けるデザイナーも少なからずいます。広告制作の業界で育ってきたデザイナーがいれば、その方にリライトや文章のブラッシュアップをお願いしてみましょう。無理に依頼者が書かなくても社内で文章を書くのが上手な人が書けば良いのです。
そして文章を書くことを求められるインハウスのデザイナーやノンデザイナーのディレクターさんも、まずはたくさんの広告と文章を見てください。広告に興味を持って文章のセンスをつかむところから始めてみましょう。